ランス10の何が凄いって、魔人が全勢力かけて攻めてくる中で人類滅亡の危機という超危機的状況で、今までのシリーズを通して様々な国を巡ってきたランスを軸に人類が統一軍を作るというスペクタルな展開と、その戦いの末に、メインヒロインであるシィルが殺されてしまうという衝撃展開で幕を閉じ、その後十数年の時を経て始まる第二部で、画面の前にいる「あなた」である「ランスの息子」のプレイヤーが主人公となる第二部がスタートするのがマジですごかった。はっきりいってこの2部だけでも5~6作は作れそうなほどの設定や展開や物語が詰められていてそれを贅沢に1作で味わえるのがなによりすごいし、ランスの息子や娘達は魔王になったランスを倒すのが目的で旅をして、最終的にシィルが実は生きていたという大どんでん返しでひねくれ者で絶対に好意を認めなかったランスがシィルに好意を伝えるというプレイヤーが何十年も待った結末が迎えらえた上に、魔王という物の概念となる「魔血魂」を巡る古来からの伝承でしかプレイヤーも知らなかったすべての魔王の魂との最終決戦が始まるの激熱すぎるし、激しい戦いの最中、ランスが息子である「あなた」を通じてプレイヤーに語りかけてくる展開も激エモ。全ての戦いが終わった後、母でありランスヒロインの一人であるクルックーは語り掛ける。「冒険は楽しかったですか?」、そこで明かされる真実。ランスの世界を創生したルドラサウムという鯨の形をした神は退屈が嫌いな残虐な神。神様は退屈になるとその時代のメインプレイヤー(過去にはドラゴンだったり色々な生き物)を全部殺してしまう。IF作品の鬼畜王ランスでも結局ランスが世界を統一してしまうと退屈を嫌うルドラサウムはエンジェルナイトという天使を大量に動員して人類を殺してしまう。その際の解決策はワーグという夢を見せる能力がある魔人がルドラサウムに夢を見せ続けることによって仮初の平和を得るというもので後味が良いとはいえなかった。結局ルドラサウムが目覚めたら世界は泡と消えてしまう。だけど、今作において神官であり神と対話を許されたクルックーが持ち掛けたのは一人の人間としてこの世界を楽しんでみませんか?というものであり、そうつまり、ランスとクルックーの子供である「あなた」はメタ的にはプレイヤーである私たちではあるが、創造神である「ルドラサウム」そのものだったのだ。というのが明かされるという衝撃的展開。ルドラサウムである「あなた」はこの世界を旅して楽しみ、時に仲間との友情や恋を知り、ランスのいるこの世界を愛した。だから、ルドラサウムはこの世界をもう壊したりしないという展開。あまりにも見事すぎてほんと震えた。平成初期から作品を初めてとんでもない本数の作品を作り、そのすべてが面白い超巨大な風呂敷を広げた作品をこんな見事な結末をつけて完成させたの素晴らしすぎて、この素晴らしさを体感できるのが作品すべてを楽しんだもののみ、ってのはあまりにも勿体ないと思うんだよな。なんつってもアダルトゲームだし、作品本数も膨大で敷居が高いからもっと届いて欲しいんだけど、こんな圧倒的物語体験を味わう人が少ないのはもう何年経っても勿体なく感じてしまう。