水菜が嫌いである。あのサラダとか諸々の料理に乗ってるあいつ。結構好きな人が多いからあんまり大っぴらに言わないけど。別に食えるので出たら何にも言わずに食べるし、好きな人の前でわざわざ嫌いなんだよねー。とか言わないけど、あいつが実は嫌いだ。なんといっても、あの茎みたいな部分。あれが最大の嫌い要因。まずあの茎がそこそこ固い。何回か嚙まないと喉に刺さりまではしないものの、違和感を残す感じなので、必ず何回か噛まないといけない。そして方向性がある。喉に対して垂直になるように飲み込まないといけないという緊迫感がある。野菜の特に葉物なんて適当にモシャモシャ口の中で咀嚼して噛まないでも平気なぐらいな軟度で何も気にせずに食えるのが良いところなのに、あいつを口に入れた瞬間に、テトリスみたいに口の中で向きをそろえたり、茎が喉に変な風に入らないかほんの僅かの緊張感を伴わないといけないのか。そもそもあいつはオマケみたいな存在なのに、なんでオマケみたいなあいつに意識を囚われないといけないのか。という不条理感がある。オマケの癖に主役の料理の邪魔になっている。そして味。別に葉物なんて食感と彩りとわずかばかりの健康のためみたいなものなのに、あいつはなんで味の主張性がそこそこ強いのか。青々強いというか葉っぱみたいな味がする。別に食えなくはないが、あの感じが料理の味になじんでないことが多々ある。とりあえず彩りのために入ってる割にはマジ味全体の中で水菜の主張性が強い。あいつはチームの足を引っ張っている。お前が主役の「水菜の~」みたいな料理なら別に構わないけど、とりあえず入れとくか~って感じで入ってるときはマジでもっと控えめな顔をしろ。という訳で水菜が嫌いである。水菜抜きでお願いしますとか主張するほどの事でもないし出されれば残さず食うが、水菜好きなんだよね~、とか水菜美味いよね~という同意を求められても曖昧な顔で笑うか、そうだよね~って心無い返事を今後もしていくと思うぐらいには嫌いである。